今年の1月8日にNHK総合で映画「生きる」をやっていたので録画しました。それを先日見ました。
黒澤明の監督作「生きる」1月8日にNHK総合で放送 – 映画ナタリー
この映画は、20年以上前に見たことがあります。図書館のビデオで借りたんだったかな?なので、話の筋は大体知っていたつもりでしたが、細かい部分は忘れていると思うので、その点踏まえながら見てみました。
変わった構成の映画
話の流れは普通だったかな?と思ってましたがだいぶ違いました。
冒頭から主人公の胃のレントゲンを映して「これは主人公の胃である」というナレーション、そして終盤早々に主人公が亡くなり「そして渡辺は死んだ」というナレーションとともにお葬式のシーン、その後に参列した人の話から、この主人公の行動や人となりが分かってみんなしんみりする、など、単に倒錯とか伏線回収とかでもない、他の映画でもほぼみたことない構成だったなと思います。
象徴的なシーンが色々
気になるシーンは色々ありますが、一番気になったシーンは主人公が喫茶店で自分でもできる!と、ぬいぐるみを持って階段を降りていくシーンですね。
同僚だった女子社員がおもちゃ工場に転職し、楽しそうに仕事している姿に刺激を受け、喫茶店で話をしながら「課長さん(主人公)も何か作ればいいじゃない」と言われて工場で作っている動くぬいぐるみを出す。それを見て「自分にもできる」と席を立って階段を降りていくんですが、隣でやっていた誕生会の主人公を迎える拍手が背景に入ってます。本当は関係ないんですが、主人公の新たな区切り、旅立ちを祝福している様子に見えて、非常に印象に残ったシーンでした。
表情で演技する志村喬さんの演技
主人公を演じている志村喬さんは、口数も多くなく派手な動きをするわけでもないですが、心情を表した表情をしていたのが印象に残りました。
無断欠勤してたあと心を入れ替えて出社した時に、同僚に話しかけられた時に、今までとは違い溌剌とした表情をしていて、そこで何かを変えたというのが伝わりました。
また、庁内でチンピラに圧力をかけられた時にも、仕事をやり抜く気概を見せた表情をしていました。これはアップになっていたので、黒澤監督もそれを見せたかったんでしょうね
黒澤作品の最高傑作では?
名作との誉高いですが、かなり久々に見てみてとても楽しめました。そして、黒澤作品の最高傑作か?については、候補の一つかなと思います。
過去自分で見た黒澤作品では、七人の侍や悪いやつほど良く眠る、天国と地獄、なんかが好きなんですが、改めて見てこの「生きる」も最高傑作の一つに入るかなと思います。
とても楽しめました。黒澤作品は、映画のクラシックとして今までも見てましたが、やっぱりもう一度見てみると実にいいですね。クラシックとしての楽しみとして、また見てみたいと思います。
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