独習の大切さについて

独習、と書いてなんのこっちゃ、というところもありますが、クリエイティブなものを生み出す人ほど、過去のものをたどったうえで自分の創作に活かそうとする、という姿勢があるように思います。
私もかくありたい、と思うところもあり、具体例をまとめてみたいと思います。

手塚治虫さんの場合

ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス)
ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス)

以前読んだ「ブラックジャック創作秘話」の中で、作品制作中の手塚さんが、おもむろに作業場がから降りてきて、ディズニーのバンビをトレースする、というシーンがありました。これは同じバンビをトレースすることで、自分の調子を図っているということでした。
手塚さんレベルだと完全に大家ですが、そのような方でもこういう地道なことをしていたんですね。

坂本龍一さんの場合


以前もエントリを書いた坂本龍一さんの密着ドキュメンタリーの映画「CODA」の中で、バッハのアリアを弾いているシーンが何度もありました。元はクラシックだというところでバッハは身近にあるものだったということかと思いますが、その他自分で作った曲をこれは僕のコラールと述べているシーンあったりして、ベースとなるところから様々ジャンルを広げていっているということがわかる作品でした。

ピーター・ゼルキンの場合

意味がなければスイングはない (文春文庫)
意味がなければスイングはない (文春文庫)

村上春樹さんの音楽に関する本「意味がなければスイングはない」の中で、同じポーランドのピアニスト、ルービンシュタインとゼルキンについて書いている章がありました。天才肌のルービンシュタインに対して地道に努力するゼルキン、という構図となっていましたが、あるコンクールの練習前の宿泊先でのゼルキンの練習の様子で、傍から聞いていた人が、単純な練習曲をゆっくりと早朝から弾いている人がいてまさかコンクールの出場者ではないだろうと思っていたら、だんだんと速度が早くなっていて実はそれがゼルキンだった、という話がありました。ピアノなんてそういう要素が強いですね。
定番の練習曲のハノンも、有名ピアニストが毎日やっているという触れ込みが広まってますしね。

エリック・カントナの場合

ものはないですが、10数年前のスポーツグラフィックnumberのイングランド特集で、マンチェスターユナイテッド所属時のエリック・カントナについて、練習終了後の居残り練習で、基本的なパス練習やシュート練習を何度も何度も繰り返していた、という記述がありとても印象に残ってます。イングランドの冬はとても寒いのでみんな先に帰っていたところを、フランスから来たカントナが居残り練習でスキルを磨き、それを見ていたマンU生え抜きの若手(それこそギグスとかベッカムとかスコールズとかですね)が見習って同じように練習してその後の繁栄を気づいた、ということになってます。
サッカー選手だと同じようにしている選手は今でもたくさんいますが、その後の栄光の礎となった点が大きいと思います。

ちょっと思いついたところを列挙してみました。これらを見てただ決意を新たにするだけではなく、実践したいですね。